表彰式終了後行われた「エクセレントNPO」フォーラムでは、「エクセレントNPO大賞」の各賞受賞団体の代表者と小倉審査委員長及び武田審査委員との意見交換が行われました。

 このフォーラムで司会を務めた工藤はまず、「エクセレントNPO大賞」を始めた理由として、「市民社会を強くすること」であったことを説明し、各代表者に非営利組織が社会を変えられるのか、質問しました。

 

 「シャプラニール=市民による海外協力の会」小松氏は、「NPOが問題提起をして、社会に働きかけることで、地域の問題ととらえられ、地域からの協力が得られる」として、「社会の潤滑油」として社会を変えられることを、自らの経験と共に語りました。

 

 「にじいろクレヨン」の柴田滋紀理事長は、「市民の意識を変えることによって、社会は変わる」との認識を示し、また「ママの働き方応援隊」の恵夕喜子理事長も「子供を介して母親、そして周囲の人々が変わる」と力強く述べました。

 

 こうした各団体代表者の回答に対して、武田委員は「課題を抱える社会に非営利組織が働きかけることによって直接的に解決する部分もあるだろうが、その現場にいる人々が変わってくる。そうした草の根の動きによって社会を変えてくれるだろう」と応え、小倉委員長も「社会のひずみや隙間を埋め合わせるというNPOの役割に期待している」と述べると共に、「NPOを強く大きく成長させる上で、社会もバックアップしていく必要がある」と課題も示しました。

続いて、工藤は「市民社会を強化する上で、市民がいろんな活動に参加して成長し、社会の中でそうした人が増えていくことが重要」との考えを述べた上で、各団体代表者に「活動に参加することを通じて、参加者個人が成長し、またその動きが波及しているか」と尋ねました。

小松氏は自らの団体が主催している国際ボランティアの入門講座をきっかけに、継続的にボランティアを行う人々、またイベントを企画している人々が生まれていることを紹介し、少しずつ変化は生じているとの考えを示しました。

柴田氏は、「団体のボランティアで働く人は、教諭や教員を目指す人が多く、ボランティアの過程で現実に直面し、傷つきもするが、成長して乗り越えているという場面を多く見かける」と述べました。

 また恵氏は、「出産した母親が素晴らしい赤ちゃんを育てているという自信を持つ点、赤ちゃんと共に働く過程で、新しい分野で活躍できる点、母親になった方々が社会にある課題に目を向ける中で、自分自身に課題解決能力があることの気付く点という3点で、母親は大きく成長していることを感じる」と語りました。

これらの回答を受けた工藤は、非営利組織が市民性などの観点で大きく進化していることを感じていると述べ、審査委員の2氏に、「現状は16基準でやっている自己評価を全33基準に拡大させるのはどうか」と尋ねました。

武田委員は、「非営利組織の向上を図る目的で、多くの団体に自己評価をしてほしいという思いもあるため、拡大して自己評価をしない団体が多くなってしまう」と懸念を表明した上で、来年度については設問項目を組み替える必要性があるとの認識を示しました。小倉委員長も「『エクセレントNPO大賞』を社会に普及させて、日本の非営利組織は強化される。社会に裾野を広げていくことも必要」との考えを付け加えました。

最後に工藤は、各代表者に寄付者など市民社会を強くしようとしている変化を感じるか、と問いました。

小松氏は、「さまざまな面で多様化しており、国際協力に個人でも参加できるようになってきた。そうした中で、従来のやり方では対応できないと考えており、自身の団体でもどのようにして海外協力を社会に広めていくのかを考えていかなければならない」との見方を示しました。
柴田氏は、「自分たちの団体はまだ若く、助成に頼ってきた。助成団体の中では組織を強化するための助成プログラムもあり、そのおかげで組織として強化された」と語り、小さくまだ若い団体でも、課題解決に向けて動いているに団体に対して助成を行う団体があることに変化を感じる、と指摘しました。

また、恵氏は「価値観が変化しているなか、情報も多様化している。そうした中、自分たちは新たなロールモデルを作りたい。そのロールモデルを作る人たち各人が、このように世の中は変わっていくのだ、という実感できるロールモデルを作りたい」と今後の意欲を表明しました。

これらの意見を受け、フォーラムの締めくくりとして工藤は実行委員の二氏に「日本の非営利組織に期待していること」を訪ねたところ、武田委員は「課題を抱えている社会に対して働きかけを行って課題解決の流れをつくること、そして参加した個人を変えること、社会と個人への2点の変革において非営利組織が担っている役割は大きい」との期待を示しました。そして、小倉委員長は「NPOがNPOのプロフェッショナルとして活動していくことが社会に影響力を行使する上で重要である」との考えを述べ、このフォーラムを締めくくりました。

今後、市民会議では、受賞団体やノミネート団体らを交え「エクセレントNPO」についてフォーラムを開催する予定です。詳細につきましては、随時、お知らせしていきます。