田中:「第2回エクセレントNPO大賞」課題解決力賞を受賞された多文化共生センター東京の王さんです。おめでとうございます。 賞をもらうと思っていなかった、ということでしたがノミネートされたと連絡を差し上げたときも、意外でしたか。
王:そうですね。申請書を書いていて、昨年の受賞団体などを見ていて、皆さん大きくて立派なことをやっていらっしゃるので、そこまではいかないと思っていたので、意外な結果でした。
田中:もともと、このエクセレントNPO大賞にどういうきかっけで応募しようと思われたのですか。
王:自分たちがやっていることが色々な人に分かってもらえるし、こういう子どもたちがいるということを理解してもらうためには、やはり応募したほうがいいとスタッフから強く言われまして、応募しました。
田中:「多文化共生」という言葉はよく聞くのですが、その内実については、私たちはよくわかっていないところがあります。ぜひ、今回の表彰結果も活用しながら課題を伝えていっていただければと思います。
王:私の想いとしては、外国から来た色々なルーツの子どもたちがいますが、同じ社会の中で、同じ土俵で、同じように夢をもって、自分が活躍できる場というのは、日本人と同じであってほしいと思います。そのためにも、そもそも学校に入れない事態については何とかしてほしいということで、調査報告書も行政に向けて書いて、日本ができないから勉強ができないわけではない、という統計を取り、提出して理解してもらおうと思っています。
田中:ついつい学習指導の方に目が行ってしまうのですが、その実態の調査を同時に始めていらっしゃいますよね。それは広く社会に訴えることと、行政を変えなければいけない、という思いだったのですね。
王:義務教育は日本国民に対してということになっていますので、そもそもデータがないということに気付いたところからです。そして、行政を説得するためにも、データをつくらなければ前進はないと思っています。
田中:特に日本は、こういう課題に対してなかなか進んでいませんので、ぜひ頑張ってもらえればと思います。最後に、この賞は自己評価が売りなので、翌年もチャンレンジしてくれている団体が多いのですが、後に続く団体への応援メッセージをお願いします。
王:NPOというのは、なかなか辛いものがあって、働く場としても労働者としては保障されないことが沢山ありますが、自分の団体だけの穴に落ち込まないで、全体を見て活動をするということは非常に大切だと思います。私たちの団体は外国籍、外国にルーツのある子どもたちの支援を行っていますが、それだけではなく、もっと広い視野に立ち、色々な課題があって、色々な人たちが地道な努力をする中で、NPOが少しずつ活動ができ、日本の社会がよくなっていくことは、素敵なことだと思います。
田中:ありがとうございます。まさに、エクセレントNPO大賞の目的というのは、NPOを強くするというのは過程であって、ゴールは日本の市民社会をもっと豊かにしたい、ということです。NPOというのは、課題先進なのでいばらの道が続くかと思いますが、ぜひ頑張ってもらえればと思います。おめでとうございました。